月天使
―――ガチャ…
ドアを開けた。
「ただいま…。」
部屋にある妙にでかいソファーを見て思う。
もう誰も居ないんだなって…
でも、もう全然平気。
傷付いたって痛みはない。
「みんな、どうせ1人だし…」
あたしはそんなことを呟きながら家を出た。
すると……。
「うっわ…臭っ…」
あたしは外へ出た途端、思わず鼻をつまんだ。
「おっ!!調度良いところに!」
酒が入ってるのか包丁を持った変なオヤジが、
このボロアパートをうろついている。
「わりぃな、兄ちゃん。大人しくしろ!!」
急に変なオヤジに包丁を首に突きつけられた。
だけど、あたしは思わずフッと鼻で笑った。
「大人しくだって…?無理な話だ!!」
「は?死にてぇのか!?あぁ!?」
さらにオヤジはあたしの首に包丁を近づける。
あたしはこれに全く動じない。
だって………
「逆に死にたいのアンタじゃねーの!?」
あたしに関わる時点で終わりだし…?