月天使

       【月side】


思わず佳那の家の窓から飛び降りてしまった。

だって凄く嫌な気がしたから。


このままあたしが佳那の家にいれば巻き込んで

しまうと思ったから。



―――バサッ…


あたしは片方の黒い翼で空を飛んだ。


「誰…?そこにいるんだろ!?」


あたしはボロアパートの屋根の上に上がって

じっと夜空に光る月を見つめた。


「あら…早いわね。
もう見つかっちゃったわね。葉澄!!」


1人の女が屋根の裏から出てきた。


待てよ、葉澄って…もしかしてっ!


「そうですね~。さすが月くん。
結大さんが見込んだだけありますね。」


そこにはあたしと同級生の

[天閣寺 葉澄]の姿があった。


「なんで葉澄が…?!」


しかもなんで結大の事まで!?


「そんな怖い顔しないで良いのよ。望月月くん?せっかくの可愛い顔が台無しよ。ねぇ、葉澄?」


「はい!……にしても月くん?あなた翼が右側にしか無いじゃないですか!!もう片方は…?」


葉澄があたしの翼を指差した。


「知らねー。結大から羽を受け取った時から
ずっとこうなんだ。」


< 20 / 290 >

この作品をシェア

pagetop