月天使
【月side】
思わず佳那の家の窓から飛び降りてしまった。
だって凄く嫌な気がしたから。
このままあたしが佳那の家にいれば巻き込んで
しまうと思ったから。
―――バサッ…
あたしは片方の黒い翼で空を飛んだ。
「誰…?そこにいるんだろ!?」
あたしはボロアパートの屋根の上に上がって
じっと夜空に光る月を見つめた。
「あら…早いわね。
もう見つかっちゃったわね。葉澄!!」
1人の女が屋根の裏から出てきた。
待てよ、葉澄って…もしかしてっ!
「そうですね~。さすが月くん。
結大さんが見込んだだけありますね。」
そこにはあたしと同級生の
[天閣寺 葉澄]の姿があった。
「なんで葉澄が…?!」
しかもなんで結大の事まで!?
「そんな怖い顔しないで良いのよ。望月月くん?せっかくの可愛い顔が台無しよ。ねぇ、葉澄?」
「はい!……にしても月くん?あなた翼が右側にしか無いじゃないですか!!もう片方は…?」
葉澄があたしの翼を指差した。
「知らねー。結大から羽を受け取った時から
ずっとこうなんだ。」