月天使

最後に確かめたい事がある。

俺は本当に夏美を愛せていたのか…。


「なぁ、瑠璃愛。会わせてくれ…。」


「えっ…?」


瑠璃愛が少し目を見開いた。

急で悪いと思いながらも俺は…


「夏美にもう一度だけ会わせてくれ!!」


と瑠璃愛に言った。

瑠璃愛は「いいよ。」と言って俺を見た。


俺は瑠璃愛の顔色を伺った。

ちょっと心配そうな顔。

もしかして俺の事気にしてる…?


「瑠璃愛、お前も一緒に来いよ!?」


「ええっ!?私も行くの!!」


「お前が嫌ならいいんだけど…。」


俺がそう言うと瑠璃愛は


「いやっ…行く!!嫌じゃないから!!」


と跳び跳ねるように声をあげた。

俺はそんな瑠璃愛を見てニコッと笑った。


「じゃあ連れて行ってくれ!!
夏美がいた過去の世界へ…。」


「よしっ!!ディプシースリープ!!」


瑠璃愛が黒魔女に変身して、魔法の

ホウキを地面に叩きつけた。


その途端、ゴオオオォという

水の音と共に俺と瑠璃愛は不思議な

空間に取り込まれていった。
< 205 / 290 >

この作品をシェア

pagetop