月天使
そうだ。その通りなんだ。確かに
俺の事を一番知ってるのは乃愛なんだ。
だけど俺は…
「月を選んだ。俺は月を守って力も与えた。
だけど、月が俺の過去を知ったとしても
月には関係がない事だろ?」
「……それでも、私は結大が好きなのっ!!」
真剣な眼差しから目を
反らすことが出来なかった。
「ごめん…乃愛。」
「私は誰よりも結大の事…知ってるから。」
「……ごめん。本当に……ごめん。」
そう言ってただひたすら
謝ることしか出来なかった。
「結大は何で…?何であの子なの…っ!?」
乃愛の悔しげな瞳がまた目に焼き付いた。
俺はただ、簡単に月を選んだんじゃない。
「月は希望の力を拡大する不思議な力を持っている子なんだ。だから…」
「だから何?」
「だからっ…俺は世界を
アイツに託そうと思ったんだ。」
そう言うと怒り狂ったような表情を
浮かべて乃愛が俺を見た。
「それは…私じゃダメだって言うの!?」
それはどこか恐ろしい表情だった。