月天使

      【結大side】


「クソッ…。」


言えなかった…。決意したのに怖く

なっちまった。月に伝えることが…。


俺は陸のいるテントに駆け込んだ。


「おい、陸っ!!」


俺はテントの中へ上がり込んだ。

すると陸が驚いた顔をして


「結大!?急にどうしたんだ!?怖い顔して?」


と言った。きっと陸は俺の顔を見て

驚いたんだろう。さっきの月との話で

俺の顔色が悪くなってしまったんだろう。


「なぁ、陸。俺が今、考えてる事分かるか?」


「月に言えなかったのか…。」


「あぁ。言えなかった…。」


悔しい。俺の本当の弱みは月なのかも

しれない。何も言えなかった。

伝えられなかった。


月が今生きてる事、死ねない事、

俺の力を超えた事、そして…

俺がこの世からもう時期消えてしまう事。


「結大、俺は月を初めて見た日からお前が変なのに気づいていたんだ。まるで月がお前の力を吸い取っていくような…。」


陸は少し寂しげに言った。

そっか…


「陸は初めから知ってたんだな…。」


「あぁ。それにお前が
この世の人間じゃないこともな。」


「えっ…!?そこまで知ってたのか!!」


陸のやつ、結構俺の異変に気付いて

たんだな…。
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