月天使
「俺のせいなんだ。あいつは超のつくお金持ちのお嬢様。そんなお嬢様が俺に着いてくるなんて言ったらどうなると思う?」


陸だったら分かるだろう…。辛い過去を

乗り越えて今を生きている陸なら…。


「なるほどな…きっと親に反対
されるんだろう?でどうなったんだ!?」


陸はきっと誰よりもこういう

状況には慣れているんだろう。


さらっと答えてしまった。

そして俺も話を続けた。


「あぁ…。親が大反対して、月の大切にしていた髪をナイフで無理矢理切ったんだ。」


それからあいつの心は闇に染まった。

だから……俺のせいなんだ。


「マジ……!?」


「あぁ。だから俺もそれ以来、
あいつの髪には触れられないんだ。」


あの日、月は泣いていた。

その光景がまた思い浮かぶ。


「だから髪触られるのを嫌がったのか。」


陸は少し納得したように頷いた。


「きっと又、自分の髪が切られてしまう
と思ったんだろう。あいつの心の傷は
埋めることができなかったんだ。」


俺ってやつは…本当に情けねぇ男だ。


そんな事を思っていると陸が俺の

おでこにデコピンをしてきた。

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