月天使

「瑠璃愛、俺にかけられていた
犬神様の術はもう解けてしまう…。
他のみんなのことは任せたぞ…。」


体が徐々に薄れていく。


「やだっ…ゆ…だ…くん!!」


瑠璃愛が俺に手を伸ばした。

でも、俺の体は全てを通り抜けていく。


「ごめんな…。''さようなら''をちゃんと
月や皆に伝えれてないや…。ごめんな…。」



そう言って俺の体は完全にこの世から

かき消された。気絶した月が一粒の涙を

見せた。まるで行くなと言うかのように…



もう、俺の役目は終わったんだ。

ごめんな…月。愛してた…。



ずっとずっと…初めてあったあの日から。

俺に光をくれたのはお前だったから…。



大丈夫!!今のお前なら見えるはずだ。



目に見えない世界をも信じて本当の平和

を取り戻してくれ。



今の月の目に見えない物は何もない!


恐れるな…何も恐れるな、月…。

信じろ…俺の心を…。光を取り戻せ、月…。
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