月天使
【月side】
嫌な気がした…。目も開かない…。
足も手も痛くて動かない…。
どうしてっ!?
『月、これを受けとれ!!』
結大があたしとお揃いの
ネックレスを渡してきた。
『なっ…何で!?』
あたしは結大に手を伸ばす。でも、
結大の体に触れることはできなかった。
あたしは結大の体をすり抜けてしまった
んだ。結大の暖かさはまだ感じるのに…。
『結大…行かないでっ…。』
あたしは結大のネックレスを
握り締めて涙を流していた。
あたしはきっとズルい女だ…。
泣いて、彼を困らせて、引き留めて…
本当にズルい女だよ…。でもっ!!
『好きだからっ!!』
あたしは消え行く結大に向かって
大声で言った。涙で前が見えない…。
でも、結大は笑ってるように見えた。
そして結大はあたしに近づいてきて、
消え行くその手であたしの涙を拭った。