月天使
『結大…あんたはどんな時でも
人の事ばっかり…。本当に優しい人…。』
そう言うと結大は驚いたような顔をして
又ニッコリと微笑むんだ。
そして結大はあたしの唇を奪った。
触れられないのに
結大の温もりが伝わってくる…。
とっても暖かいよ…結大…。
そして、結大があたしから離れて
最後に口パクで
『も・う・な・く・な!!』
と言って笑った。
それが結大の最後の言葉だった。
「いやぁぁぁぁあっ!!」
―――ガバッ…
あたしの動かなかった手足がようやく
いうことをきいた。
そして、あたしは何故か布団を
捲り上げていた。
「あたし、夢見てたの!?」
でも、何でだろうか…
夢だと思えなかったんだ。
少しボケーっとした意識の中で
あたしはテントを出た。
すると、海を見て泣き続ける瑠璃愛の
寂しげな背中が見えた。