月天使

「あいつ、あたしに『もう泣くな。』
って言って消えたんだ…。あれは
どうやら夢だったみたいだけど…。」


でも、ネックレスを握りしめているって

ことは夢じゃなかったのかもしれない…。


「なんだ…結大くん、ちゃんと月に
最後に会いに行ったんじゃない…。」


瑠璃愛はあたしを見て小さく笑った。

でも、涙は頬を伝ってこぼれ落ちていた。


そして、あたしは瑠璃愛を

ギュッと抱き締めていた。


強く強く抱き締めていた…。

それと共に嫌な気もしていた。


乃愛はあの日、結大の前であたしを

殺そうとした子だ…。


結大は何であの子を連れてきたの!?

あたし、又殺されそうになるの?


あたしは赤い月を見て涙する乃愛を

瑠璃愛の影から見つめていた。
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