月天使

―――バサッ…


嘘だろ…。夢でも見てるのか…。


「月くん大丈夫だった?」


佳那の体が離れた。

あたしは頭の中がごちゃごちゃになった。


「佳那…翼…なんで?」


あたしは佳那の翼を指差した。


「え…?翼?なにそれ!」


佳那が不思議そうにこちらを見る。

自分の力に気付いてないんだ。


「自分の左肩を見てみろ…刺さってんぞ。剣が翼に!」


佳那が自分の左肩を見た。


「……っっ!あれ…夢かな?ごめん、月くん頬っぺたをつねってくれない!?」


理解できないと言うように

佳那はあたしにそう言った。


あたしは佳那の頬っぺたを思いっきりつねる。


――――むにゅ―…!


「ギャー!痛い痛い!月くんやめてーっ!!」


佳那がストップをかけた。


「はいよっ。」


あたしは佳那の頬っぺたから手を離した。
< 27 / 290 >

この作品をシェア

pagetop