月天使
あたしには…人を傷つけず、
人を助け、人から力を無くす。
結大の教えてくれた力がある!!
「ビッグバン――ッ!!!」
そう叫んだ時にあたしの
気持ちはハッキリした。
そして、あたしのムーンステッキは和希
のバリアごと全ての力を吸い付くした。
そこで、10分になった。
又、全ての生き物が動き出す。
「あれっ…俺っ…!?」
バリアも力も失った和希が膝をついて
手のひらをじっと見て震えていた。
「もう大丈夫だ…。和希っ!!」
―――ガバッ…
あたしは和希を優しく抱き締めた。
「えっ…望月…月…?」
和希は驚いたような声を出した。
でも、和希の気持ちは分かるから…。
「生きるんだ、和希。
誰よりも強く…強く、生きるんだ。」
「…………っ。」
和希は黙って泣いていた。
本当は怖かったんだろう。
こんな事したくなかっただろう…。
それでも好きな人の為に…。
命を犠牲にしてまで地獄の
扉へ立ち向かった和希は立派だ。
「こうなったのが全てあたしの責任なら、あたしがこの戦いを終わらせる!!」
あたしはそう言って和希から離れた。
あたしは和希に背中を
向けて右手を軽く挙げた。