月天使
「ごっ…ごめんなさい。月くんにかかった魔法を解こうとしてて……月くんの存在を忘れてた!!」
「佳那…お前アホか…。」
呆れたように月くんが言う。
「あ…アホとは失礼なっ!…でも良かったぁ。」
私は月くんに手を貸して起き上がらせた。
「で、良かったって何が?」
「えぇ!!分からないの!!心配したんだよ…。」
「俺の心配してるやつが何で俺の存在を忘れるんだ?」
うっわ…きつい質問だ…。
「忘れなきゃ魔法が解けないから!思えば思うほど月くんを苦しめる事になる。だからっ……」
「……落ち着け、佳那。」
「あっ………えと…ごめん。」
つい、ムキになってしまった…。
そんな私を見て月くんがクスリと笑った。
「俺の為だろ?…ありがとな。」
大きな手がポンッと頭にのし掛かる。
この重みが月くんの
暖かさだって凄く伝わるよ…。
私はやっぱり月くんが好き。
月くんの前では自分がどんどん
壊れて新しい自分が生まれてくる…。
顔が熱い…これが恋なんだね…。