月天使
暗い闇に包まれた世界の海には何もないから…。
彼女はあたしを見て小さく頷いた。
「寂しいわ。」
そう答えるのをあたしは
待っていたのかもしれない。
「昼も夜もなく、光も射さない。深海では光にたどり着けない。どこかに光の戦士でもいればいいのに…。」
黒い魔女の服をきた彼女が寂しそうな顔を
あたし向けて隣に座ってきた。
でもあたしは知ってる…。
「光は戻らない。この世は闇に包まれてる。」
この世界の平和を願ったってムダだ。
「あらそう。残念。貴方なら光を取り戻してくれると思ったけど貴方の心には何も見えない。」
そう言われたあたしは
思わず彼女の方に顔をあげた。
「何が?」
思わずそう聞いてしまった。
だって残念なんて言われたことない…。
「貴方の心に希望はない。あるのは絶望だけ。」
彼女はあたしに指をさしてそう言った。
あたしは思わずふっと鼻で笑った。
「絶望しかない?そのとおりだ…。」
あたしがそう言うと彼女は立ち上がって
「あなたは闇の戦士ね。光が射さない理由がよーく分かった。私は深海に戻るわ。」
彼女はそう言って立ち上がり、
海へと帰っていった。