月天使
いつかは話さなくちゃいけない。
でも怖いんだ。
唯一の繋がりが壊れてしまいそうで…。
「なぁ…佳那、俺さ………」
あたしがそう、話をしようとして佳那の方を
向くと凄く悲しい顔をした佳那がそこにいた。
「えっ…?」
あたしは驚いた。
そして、佳那を思わず見つめてしまった。
「やめて。そんな悲しい顔しないで。
何かあったの?私に教えてほしいよ…。」
その言葉は佳那の優しさだろう。
だけど…
「 ……ごめん。今は放っておいて。」
あたしには、まだ何も話す勇気はない…。
「月くん…。」
佳那は寂しそうに空を見上げた。
満点の空に大きな満月が雲に見え隠れする。
ごめん…佳那。あたしはまだダメなんだ。
この赤い月が許してくれるまでは…。