月天使

      【佳那side】


月くんの悲しみを…苦しみを理解して

あげられない…こんな私でごめんね。


「月くん…ごめんね…」


私はそう呟きながら

自分のたてたテントに戻った。


その瞬間、


―――プルルルル…


と携帯がなった。


携帯を開くと、お母さんからだった。

私は思わず電話をとった。


「もしもし!!」


『あっ…佳那?今どこにいるの!!』


「お母さん…私ね、遠くに行くの。ずっと遠い遠いところに行くの。だから場所は聞かないで。」


『何言ってるの?良いから家に戻ってきて!!』


「なんでよ!!私はっ…!!」


『結大くんが大変なのっ!!とにかく早く!!』


嘘っ…結…大兄…?何かあったの!?


「ごめん…月くん。朝には戻るから!!」


――――プーップーップーッ…


私は思わず電話を切って走り出していた。

月くん。必ず…必ず戻るから…。


「ごめんね…。」
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