月天使
―――ガラッ…
「結大兄――っ…!!」
私は思いっきりドアを開けた。
「ん?何だ!?どうした?佳那か…?」
元気そうな顔が病室に1つあった。
「なんだ!どうしたんだ?不安そうな顔して…佳那らしくないぞ!!」
「うわーん…結大兄っ!!」
私は結大兄に抱きついた。
涙が止まらない…怖かった。
不安だったんだ。
頭にたくさん巻いてある包帯も、傷だらけの顔
も、ベッドから吊り上げられている大きな足も
結大兄そのものだった。
それがただ嬉しくて…。
「どうした?佳那?」
結大兄は不思義そうに首を横にする。
「だって結大兄、車に引かれたんだよ?良かった。結大兄生きてて良かった…。」
私が泣き止まずに結大兄を見つめると結大兄は
私の頭を撫でて、私に優しい笑顔を向けた。
そして少し寂しそうに一言、
信じられない言葉を吐いたのだ。