月天使
【月side】
まずいな…大変な事になったぞ。
あの佳那の様子じゃ、きっと…
「お前、女だってバレたな!!」
何て呑気に言う結大。
あたしは被っていたウイッグを外して
結大にその長いチョコレート色の髪の毛
を見せつけた。
「<バレたな>じゃねー!あの子1人じゃ、
まだ力の使い方も知らないのにもし
今敵と出会したら大変なんだよ!?」
あたしは必死に訴えたが結大は
「そーだな。」
と落ち着いたようすであたしに言った。
何でそんなに簡単に納得しちゃってるの!?
それなら早くいかなくちゃっ!!
「結大!!あたしは行くよ!!」
そう言ったときだった。
「まてっ!!」
今まで以上に大きな声が
病室に響き渡った。
「な…なんでよ!!佳那をどうするのよ!!」
あたしは結大の方に振り返る。
「俺が何でここにいるか分かるか?お前が片方の翼を使えるようになった時に完全な力を与えようと思ってたからだ!!」
どういう事?何言ってるの…?
「今度は本当のお別れって事だ。」
「そ…そんな…嘘でしょ?」
だってまた会えたのに…お別れなの!?
「この羽を受け取れ!!
そしてこれで佳那を助けてやれ!!」
あんたとまた出会えたのに何で!?
何でその黒い羽をあたしに手渡すの!?
「やだっ…。」
あたしは結大の胸を叩いた。
「うわ…月、泣くなって。」
結大が困ったように笑った。