月天使
「泣いてないもん!!」
あたしは必死に顔をあげた。
するとそんなあたしを見て
「良いから早く受けとれ!!」
と結大が黒い羽を一枚突き出す。
結大はあたしの心をせかすんだ。
「やだ。あんた、あたしがどんな思いでこの3年過ごしてきたと思ってるの!?」
あんたが生きていると分かった今、
絶対にあんたを死なせはしない!!
「あたしの言いたい事分かるでしょ!?」
あたしはあんたをずっと…
「なるほど!!寂しい思いさせたんだからその分責任とって側にいろって?仕方がない奴だな…お前には逆らえねーわ。」
「バカ…。」
そこまで完璧に見抜かないでよ…。
「ん…?何か言った??」
「少しは反省の顔も見せろっての!!」
「ははは…わりぃわりぃ。」
そう言いながら結大は頭に
巻かれていた包帯を外して足も
軽く動かしあたしの隣に並んだ。
「よし、行くか!!月。」
「それはこっちの台詞だ!!」
結大の傷はもう何1つ残っていなかった。
普通の人間なら4カ月程入院って
ところだろうけど奴は別。
何を言おう、結大は凄い力の
持ち主であるから…。
あたしの力などほんの一部にしか
ならないのだろう…。
あたしと結大は病院を抜け出して
走った。佳那のいるあの場所へ…。