月天使
―――ブワァッ…
あたしの中から黒い羽と
心の闇が飛び出した。
「―――っ!? 何だ今の!?」
陸の声が遠くの方から響いてきた。
どうやらあたしは空山陸を弾き飛ばしたみたい
ど…どうしよう…怖い…。
怖くて震えが止まらない。立ち上がれない…。
怖い…怖い。
あたしは下を向いて涙が止まらない。
「月っ!!」
誰かがあたしを呼ぶ声がする。
でもあたしの心に響かない。
「こ…怖い…やだっ来ないでっ!!」
「月…俺はな…」
誰かがあたしのところに近づいてくる。
足音が一つ二つと近くなる。
「ごめんなさい…ごめんなさい…何でもするから。もう悪い事はしないから…お願い来ないでっ」
―――フワァっ…
一瞬あたしの心の中に光が射し込んだ。
暖かい…。大きな体があたしを丸ごと包んだ。
「もう大丈夫。怖くない…怖くないよ。謝る必要はない。俺が来たから…」
「ゆ…結大…?」