月天使

あたしはおそるおそるその重たい顔をあげた。


「良かった…意識が戻ったか…」


「ゆっ…結大っ…。うわぁぁぁっ…ひっく…ひっく……ひっく…」


あたしは思わず結大に抱き付いた。


すると結大はあたしから

体を離して困ったように笑った。


「俺はお前を泣かせてばかりで情けねー男だけどさ…」


「ゆ…結大?」



「もう泣くな…笑え…。俺は陸と話つけてくる。」


あたしはその言葉を聞いて思わず涙を拭った。

結大は人の泣き顔が誰より嫌いな奴だ。


「結大、心配かけてごめん。もう大丈夫。行って。」


あたしは結大の背中を押した。


「おぅ。じゃあ、ふれあ、月は任せた。」


「はっ…はいぃ!!」


結大は空山陸の元へ片方の黒い翼だけで

飛んでいった。


「結大…ごめんね…」


「月さん…。」


本当に一番傷付いて

怖い思いしたのは結大なのに…


あたしはいつも弱くて結大に

助けてもらってばかりで…


ごめん…ごめんね…結大。
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