百合の紋章
転機
「はぁっはぁっはぁっ」
昼間の雨でアスファルトが濡れていた。
夜中だというのに周りが
明るい気がしてならない。
石を踏みつけて足はズタズタ。
それでも走る足は止めない。
「はっはぁっはぁはぁはぁ」
人生でこんなにも必死に走ったのは
いつ振りだろ。
「はぁ・・・はぁ・・・」
やっと足を止める。
空を見上げて思わず笑いが出た。
「ふっ・・・人の気も知らねぇで。」
・・・・・・・・・空には瞬くほどの星のつぶ。
あまりに綺麗な空に・・・
あまりに滑稽な自分の姿が笑えた。