LOVE PRINCESS(陽呂&心菜)



「ひっ、陽呂!」


私を優しく抱きしめ喋る陽呂を止めると


「どうした? あ、この体勢疲れる?」


まだ、お腹を触る手は離れない。


「ううん。そうじゃなくてね。
あの……検査薬まだ使ってないの」

「検査薬?」

「そう……あれ」


指差した方向の先には、さっき陽呂が出したであろう妊娠検査薬の箱。


「使ってないって……検査薬って妊娠の!?」


驚く陽呂にコクリと頷く私。


「ごめんね」


そう言った後は、何となく顔があげれなかった。

こんなに喜んでくれたのに、何かごめんね陽呂。


しょんぼりする私を後ろから抱きしめる力が少し強くなり、


「そっか、良かった」


と嬉しそうな声が耳に響いた。



え?
良かった?

どうして!?

さっきの喜びは嘘だったの。

赤ちゃん、欲しくなかったの!?


その上擦った声に、今度は泣きそうになってしまった。


「まだ……赤ちゃん欲しくなかった?」


涙声で尋ねた私に陽呂が戸惑っているのがわかった。


「はぁ? 欲しいけど。って何で泣いてんの?」


私の体を出来る限り陽呂の方へと向け、覗き込む顔は少し不安そう。


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