LOVE PRINCESS(陽呂&心菜)
愛し愛される姫
「うぉっと!」
「わっ! ……セーフ♪」
焦せる俺に、腕を掴まれた心菜が笑いながら舌を出す。
……何がセーフだよ!
「心菜さん、気をつけて下さいね」
「はいはーい」
って危機感0かよ。
全く気持ちのこもっていない返事にドッと疲れが来た。
心菜の腹の中に俺達の赤ちゃんが授かって早6ヶ月。
それなのに未だ、仕事もバリバリこなしてくれる心菜が不安で仕方のない。
今だってそうだ!
玄関で靴を履く時に、躓いたのに。
“セーフ”って。
全然“セーフ”なんかじゃない。
俺が腕を掴んでなかったら……
だー!
本当に母親って意識はあるのか!?
1人の体じゃねーのにっ。
はぁー……んっとに頼むよ。
玄関の鍵を閉めながら大きな溜息をつく俺に、
「陽呂、早くしてくんない?」
なんてエレベーターの中から心菜が怒った。
俺は、お前の心配をしてだな。
怒ってるのは俺だっつーの。
しかし……
「あっ、すみません」
……何とも情けない俺。
完全に尻にひかれてんじゃねーか。