LOVE PRINCESS(陽呂&心菜)
この人数で空いてるって……。
少子化って、嘘なんじゃね?
そう思わせるくらいに、完全予約制の院内には驚くほどの女性患者が居る。
「いつもは、ここの産婦人科変だ! とか文句ばっかり言ってるくせに、可愛い受付の女の子にデレデレしちゃってさ」
「い、いや。違いますって」
たっ、確かに。この産婦人科は理解出来ない。
トイレとか、まじありえねぇし。
んっとに全てが一流ホテルなみなんだから。
「まぁ、いいけど」
そう、不適な笑みを浮かべた。
な、なんだ?
その意味深な笑顔は!
「デレデレなんてしてませんよ。
俺には心菜さんだけですから……って、ええ!?」
いや、普通に言っただけなんですけど。
俺の言葉に、真っ赤な顔をして俯き小さく『馬鹿』って呟く。
心菜って、いつまでたっても、ちょっとの言葉に弱い。
こんな台詞、昔からずっと言ってんのに。
……そこが可愛いんだけど。
つい自然と笑みが零れ、それを心菜に見つからないよう、違う場所を見つめた。