LOVE PRINCESS(陽呂&心菜)
「はぁー……」
会社へと連れ戻された俺は、パソコンを閉じ、大きな溜息をついた。
心菜は、嬉しくないのか?
性別わかったら普通テンション上がるだろ。
それに仕事は忙しいし、2人の時間が合わせれる事だって少ないわけで。
2人揃って買い物なんて中々行けないだろー。
たまたま今日は時間あったし、性別もわかったし、心菜と一緒に腹の子の買い物したい、って思っただけなのにな。
「あれ? 陽呂、もう戻って来たの?」
沢山の資料片手に抱え、もう片方の手でコーヒーを零さないように持つ美鶴が入って来た瞬間、うなだれていた俺が蘇った。
「子供、女だって!」
勢いよく美鶴に向かった俺のせいで、少し零れたコーヒー。
それを苦笑いで見つめながら、
「陽呂がそんなに興奮するの珍しいね」
なんて落ち着いて言う美鶴がティッシュに手を伸ばした。
その状況に、またテンションが落ちた。
「何だよー。お前もかよ。
“女の子なんだ!”とか驚くだろ、普通」
「あはは、何? 姉ちゃんに冷たくでもされた?」
図星をつかれ、俺はふて腐れた。