LOVE PRINCESS(陽呂&心菜)



放課後。
教室の掃除をしながら、今日はヤケにカップルで帰る率が高いなぁー、そう思いながら窓の外を眺めてた。


「心ちゃーーーん!」


ガラッと勢いよく扉を開き、大きな声で叫びながら走り寄って来た愛未が私のそばへ来た途端、小声になる。


「陽呂君ね?
今年、誰からのチョコも貰ってないんだって!」

「へ!? どうして?」

「さあーねぇ」


ニヤニヤと気持ちの悪い言い方をする愛未を見て、眉間に皺が寄ってしまう。

それを人差し指で押さえられ、睨み返された。


だって、陽呂。

昨日だって女の子からの予約入ってたし、今日も朝から呼び止められてたじゃない。

本命じゃなかったら貰うんでしょ?

皆、本命だったの?

でも昨日の子は、義理だって言ってたし……。
どういう事?


「心菜さん、帰りましょう?」


タイミングよく陽呂が教室に迎えに来た。


それを見て愛未が背中を押して

『頑張ってね』

と耳元で囁く。


“頑張ってね”たって……。


別に告白するわけでもないのに。

美鶴と陽呂に義理チョコを渡すだけだよ。


本命って隠した義理チョコだけど。
< 144 / 180 >

この作品をシェア

pagetop