LOVE PRINCESS(陽呂&心菜)
放課後。
教室の掃除をしながら、今日はヤケにカップルで帰る率が高いなぁー、そう思いながら窓の外を眺めてた。
「心ちゃーーーん!」
ガラッと勢いよく扉を開き、大きな声で叫びながら走り寄って来た愛未が私のそばへ来た途端、小声になる。
「陽呂君ね?
今年、誰からのチョコも貰ってないんだって!」
「へ!? どうして?」
「さあーねぇ」
ニヤニヤと気持ちの悪い言い方をする愛未を見て、眉間に皺が寄ってしまう。
それを人差し指で押さえられ、睨み返された。
だって、陽呂。
昨日だって女の子からの予約入ってたし、今日も朝から呼び止められてたじゃない。
本命じゃなかったら貰うんでしょ?
皆、本命だったの?
でも昨日の子は、義理だって言ってたし……。
どういう事?
「心菜さん、帰りましょう?」
タイミングよく陽呂が教室に迎えに来た。
それを見て愛未が背中を押して
『頑張ってね』
と耳元で囁く。
“頑張ってね”たって……。
別に告白するわけでもないのに。
美鶴と陽呂に義理チョコを渡すだけだよ。
本命って隠した義理チョコだけど。