LOVE PRINCESS(陽呂&心菜)



部屋に戻り、ラッピングをしたチョコを見つめた。


中には、何度も真っ黒にしたチョコのシフォンケーキ。

頑張っても頑張っても間に合わなくて最後は、お菓子教室の先生に作って貰った。

けど、材料は自分で混ぜたし。


一応! 私の手作り。


だけど、今年は本命も義理も受け取らないって……

これ受け取って貰えるの?



――バタンッ

と美鶴の部屋のドアが閉まる音が聞こえた。


その音を聞いて立ち上がり、美鶴の部屋へと向かった。


部屋には居るはずの美鶴の姿がやくて。


「あれ? 美鶴は?」

「あ、心菜さん。美鶴なら、呼び出されて行きましたよ?」

「えっ!?」


作戦大失敗。


美鶴にチョコを渡そうとしたら

『陽呂もいたのー?』

なんて言いながら一緒に食べようと思ってたのに。


でも、今ここで渡したら、俺の為に? とか思われちゃうかもしんない。

本命も義理も受け取らないんでしょう。

なら、いらないって言う……よね?
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