LOVE PRINCESS(陽呂&心菜)
「何も用意しなくていいよ。
その変わり明日姉ちゃんをココに連れて行ってあげて?」
そう手渡された、動物園の無料券。
「はぁ? 動物園?
おい、俺はガキじゃねぇぞ!
しかも何、このしょぼくれた動物園?」
「いいから。ホワイトデーのお返しは、デートって言えば問題なしだよ」
にっこり笑う美鶴。
……こいつ、やっぱ馬鹿だよな?
そんな事、言われて心菜が喜ぶ訳ねぇし。
逆に怒られる可能性の方が高いって。
でも今更、良い案が思い浮かぶはずもなく……3月14日を迎えた。
「あのー心菜さん?
今日のホワイトデーなんすけど……」
「えっ? あぁ、今年は何?」
「えと。動物園へ行きませんか?
それがお返しなんですけど……」
結局、さりげなく誘えない俺は美鶴の言葉をかりた。
しかも全部、疑問系。
「何それ?」
だよな。
無表情の心菜に苦笑いしか出来なかった。