LOVE PRINCESS(陽呂&心菜)
うん。
そうと決まればサッサッと風呂から出て、
「陽呂?」
頭を洗う俺の耳に届いた声に
「はい!?」
素っ頓狂な声が出た。
流しきれてないシャンプーなんて無視して、シャワーを止める。
片目を開け、バスルームのドアの磨りガラスに映る心菜の影を見つめた。
「あ、あの……ごめんね」
へ?
何で心菜が謝ってんの?
「私もっと頑張るから……」
何の話だ?
「陽呂の側に居て恥ずかしくない、奥さんとしても仕事のパートナーとしても……頑張らなきゃ駄目なのわかってるから」
そう言って磨りガラスに掌を当てた。
その影に俺も掌を合わせる。
「いつも怒ってばっかりでごめんね?」
「いや、今回のは俺がやり過ぎたんで心菜さんは悪くないですよ」
「……ん」
「すみませんでした」
磨りガラスに映る影が揺れるのがわかった。
心菜が首を左右に振ったんだろう。