LOVE PRINCESS(陽呂&心菜)


うん。

そうと決まればサッサッと風呂から出て、


「陽呂?」


頭を洗う俺の耳に届いた声に


「はい!?」


素っ頓狂な声が出た。


流しきれてないシャンプーなんて無視して、シャワーを止める。

片目を開け、バスルームのドアの磨りガラスに映る心菜の影を見つめた。


「あ、あの……ごめんね」


へ?
何で心菜が謝ってんの?


「私もっと頑張るから……」


何の話だ?


「陽呂の側に居て恥ずかしくない、奥さんとしても仕事のパートナーとしても……頑張らなきゃ駄目なのわかってるから」


そう言って磨りガラスに掌を当てた。

その影に俺も掌を合わせる。


「いつも怒ってばっかりでごめんね?」

「いや、今回のは俺がやり過ぎたんで心菜さんは悪くないですよ」

「……ん」

「すみませんでした」


磨りガラスに映る影が揺れるのがわかった。

心菜が首を左右に振ったんだろう。
< 174 / 180 >

この作品をシェア

pagetop