LOVE PRINCESS(陽呂&心菜)



ついさっき怒ってたくせに、今では楽しそうに鼻歌をうたいながら、おつまみを用意している心菜。


今日は“家でまったりDAY”らしいけど。


そもそも何なんだ、この呼び方は……。

機嫌がよくなった心菜は、本当に何を考えてるのかわけわかなんね。


俺が起きるのも遅かったせいで、夕方位から始まった“家でまったりDAY”は、ビールを飲みながらテレビを観るだけ……と、確かにまったりだけど。


さっき言ってた“ドキドキ”ってのは、もういいのか?

……やっぱり心菜がわからん。


「はい、陽呂。って、どうかしたのー?」


テーブルに用意したおつまみを置きながら心菜が首を傾げた。


「え? 心菜さんを見てただけですよ」


あまりにも凝視し過ぎたのか不思議そうに見つめる心菜に、にっこりと笑顔を作って見せた。


「なっ! やっぱり……陽呂にはドキドキなんてないんでしょ!」


ポスンと俺の隣に座った心菜は、真っ赤な顔でグラスのビールを飲み干す。


え?
こんなのは駄目なの?


「あはっ。心菜さんってどこが基準かサッパリわかんないすよね」

「私には陽呂が全然わかんないけど!」


あぁ……。
そっか。

お互いが違うところでドキドキするから上手くいってんのかもな。

何となくわかったような気がする。


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