誰かの為のラブソング
「……………。」
楽屋のドア越しに、もたれ掛かるようにして今井友喜は立ち尽くしていた。
楽屋の中の光景を目の当たりにして、何かを見据えるように天井を仰いだ。
「……………。」
無造作に髪をかき上げるとそっと、静かに瞳を閉じる。
その表情には少し苛立ちを覚えているようだった。
どれぐらい時間が過ぎただろう。
楽屋口に伸びる廊下に足音が響いた。
「……お久しぶりです。
…友喜さん。」
友喜は静かに瞳だけを動かし、その人影をぼんやりと見つめた。
「…………。」
そこには但馬理久が立ち尽くしていた。