誰かの為のラブソング

今井友喜…。


深い闇に佇むような冷たい瞳だった。


似ていた…。


昔のあたしを見ていた
両親の瞳と。


まだ癒えていない傷口をえぐられるようなそんな感覚がした。


今井友喜のあの瞳はとてつもなく冷たかった。


「…そうだね。
早く元気にならなきゃね」

リズは無理矢理笑った。


「あっ~もう
そろそろ帰るね。
疲れたでしょ?」


あずさは、空気を察知してか素早く話を切り上げた。

リズは無言のまま、頭を横に振った。


「そうそう、
これ置き土産。
また見てみてね。
リズ。」

愛香はあずさに引っ張られながら、部屋を後にした。


リズの手元には、一枚のDVD-Rが置かれていた。






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