誰かの為のラブソング

上田は目つきを変えると静かに言った。

「…聞いた。
パニック障害のことは聞いてる。」


「だったら、何で
押し付けるんだよ。」

理久は眼光鋭く、上田を睨みつけた。


「押し付けじゃない。
川嶋の為だ。 」


上田は理久を見据えた。

「何がリズの為だ。
単なる体裁の為だろうが。 」

「…但馬、どうして
わからないんだ?

川嶋を学級委員にしたことも意味があって、そうしたんだ。

何からも逃げて生きて行くわけにはいかないだろうが。」


「違う、
よけいにリズに負担を掛けて、悪化させてるだけだ。

現に、あれから、
全く発作は起きてなかったんだ。
それをどう説明すんだよっ! 」

理久は思わず、声を荒げた。


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