誰かの為のラブソング

それどころじゃないよ。

今は人のことよりも、
自分のことで精一杯だ。


でも…興味を持つにはいいかもしれない。


少しでも他のことに没頭出来るのなら、それはそれでいいのかもしれない。


リズはふとそう考えた。


「……………。」


身だしなみを整え、クローゼットの扉を閉めた際にふとリズの視界に 一枚のDVD-Rが飛び込んできた。


愛香が置き土産だと言っていたことを今さらになって思い出した。


とりたてて興味はなかったが、気を紛らわす為にリズはDVD-Rを再生した。



そこには、あるバンドのライブの模様が収録されていた。



…RozeeL(ロゼル)。



熱狂的な盛り上がりを見せるそのライブの中心には、あの路上で歌っていた彼、ユウの姿があった。


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