誰かの為のラブソング
音にひたむきさが加わった。
それは音楽初心者のリズが見ても、違いが手に取るようにわかったことだった。
「今日はごめん!
また、来いよ!」
最後の曲で、ボーカル、ユウはこう言い放った。
オーディエンスは、それに答えるように怒号のような歓声を上げて、そのライブは終演を迎えた。
「……………。」
DVD-Rがいつのまにか終わり、テレビからは青い画面が映し出されていた。
リズは、吸い込まれるようにライブを観ていた自分に気づき、ようやく我に返った。
ライブの後半より、
ユウがRozeeL(ロゼル)に
生気を取り戻させた。
それは、彼の音楽に
対する真摯な心を表していた。
ユウが唄う、RozeeL(ロゼル)の ライブを生で観てみたい……。
同時にそんな衝動に駆られていた自分に少しだけ驚いた。
もう二度と観れることはないとリズは知る由もなく、ただ、その衝動に否が応でも心が弾むの
だった。