誰かの為のラブソング
路上の片隅
いつもは目に止まることのない路上の風景。
人は生き急ぐかのように足早で過ぎ去っていく。
後ろを振り返ることもなく、ただ、前だけを見て突き進んでいく。
きっと、路上のアスファルトに咲く小さな花の存在さえも気づくことはないのだろう。
「………………。」
リズは駅前の噴水広場にいた。
昼間はサラリーマンや
学生、旅行者の姿ばかりが目につく。
ジワジワと本格的な暑さが訪れようとしているなか、アスファルトに照り返す太陽の視線が思ったより痛かった。
リズは、噴水の前に座り込んだ。
砂漠の中に佇むオアシスのようで気持ちがよかった。