誰かの為のラブソング
「ユウ、それ本気で言ってんの〜?」
ストリートライブを終えた頃、彼、ユウはファンの娘らと楽しそうに会話をしていた。
彼が冗談を言う度にファンの娘らは楽しそうに笑っている。
リズはそんな様子を噴水の前で腰を下ろしたまま眺めていた。
返しそびれた洋服。
今日こそはちゃんと
返さなきゃ。
リズは大切そうに抱えていた。
「今度さ、遊びに行こうよ〜」
ファンの娘達はリズと同年代のようだ。
一生懸命ユウを誘っていた。
「う〜ん。俺、
毎日バイトあるからさ、ムリっ。」
彼は上手に彼女達の誘いを断っていた。
「えっ〜具合が悪いって
1日ぐらい休めばいいじゃんー」
なんだか愛香と同じことを言っている彼女らに、リズは少しだけ笑えた。
「……………。」
リズはユウの姿をようやく遠目からまともに見ることが出来た。
前は目を合わすことさえできなかったからだ。
背がとても高かった。
そして、少しだけ猫背がちだった。
そしてユウは、男なのに綺麗な顔立ちをしていた。
ファンの娘達が必要以上に群がっている理由がわかった気がした。
そして、彼は世渡りが上手なのか、皆に対して妙に優しかった。
悪く言えば、八方美人かも…。
リズはそんな彼をじっと眺めていた。