誰かの為のラブソング
チラチラとファンの娘の一人がリズの視線を気にしているようだ。
何度も彼女と目が合う度にリズは視線を外した。
「あ! 」
突然、彼が声を上げた。
ユウはリズを見つけたようだ。
「来てくれたんだ。」
ユウはファンの娘から逃げるようにこちらに歩み寄ってきた。
ファンの娘らの冷たい視線は明らかにリズに向けられていた。
「嬉しいな〜ちゃんと来てくれたんだ。」
ユウはリズの横に座ると ニコニコと微笑んでいる。
すでに眼中に入ってないファンの娘らは諦めたのか、彼に向かって別れを告げると渋々帰っていった。
「あの…いいんですか? 」
「ん?何が?」
彼は惚けていた。
「それよりさ、また来てくれると思ってなかったからさ正直驚いたよ。」
あれ?
あの時、はいと返事したよね?私…。
リズは彼の言葉の真意を探ってみたりした。
彼は少し疲労を抱えているようだった。
声が少し潰れていた。