誰かの為のラブソング
「…………」
どうして、見ず知らずのあたしなんかにこんなに優しくしてくれるんだろう。
なんで悩んでることがあるってわかったんだろう。
リズは不思議で仕方なかった。
「なんかインスピレーション湧いてきた。
曲 書けるかもっリズっ」
突然、元の世界に戻ってきたユウはとびきりの笑顔をリズに向けた。
本当に不思議な人…。
まだそんなに知り合ってないのにリズと名前を呼ばれることに全く違和感を感じない。
名前を呼ぶ感じはどこか懐かしさを覚えるほどだった。
ユウはインスピレーションを形に変えようとメロディを浮かび上がらせた。
心地よいメロディ。
歌詞はないけど気持ちが伝わってくるようで、リズは静かに聴き入っていた。
それは今のリズの心境に似ていた。
言葉がなくても、
感情は伝わってくるものなんだ。
本当に不思議な人…
リズはそっと瞳を閉じた。
「あ、水死体みっけ。」
突然、足元から男の声がした。
その声の持ち主は、噴水で漂っているユウ達を見つけると、嬉しそうに微笑んでいた。