誰かの為のラブソング
「ジャンルは問わねぇ、
集客力の問題なんだよ。
ストリートで2〜300集めれる
奴はお前しかいねぇだろうが。」
「悪いけど…
お前の利益の為に力、貸す気はねぇよ。」
ユウはきっぱりと断った。
「もちろんギャラは弾むっ!
って、なんちゅー顔してんだよ
………………
……………わかったよ。」
余りの真剣なユウの表情を見て
渉はすんなりと説得を諦めてしまった。
彼はユウの真意を分かっていたようだ。
もしかして、
…対バンの相手が
RozeeL(ロゼル)だから…?
リズはユウを見つめて
そう思った。
何があったんだろう…
ユウとRozeeL(ロゼル)に…
リズはユウから目を離せず
ただじっと彼を見つめていた。
いつのまにか、彼等は何事も
なかったかのように談笑している。
駅の外灯は微かに逆光線を作り上げ、静かにユウを包み込んだ。
無色透明なその光は、ユウ自身を表しているように彼と同化していた。
何度も目を凝らしても何も見えず、リズはもどかしい気持ちで一杯になっていた。