誰かの為のラブソング
「リズっ!
よかったぁ〜!
おばさんに聞いてもわからないって言うから、探したんだよっ
〜やっぱり、ここにいたんだっ 」
愛香は半分泣いているようだった。
隣には理久が無表情で立ち尽くしている。
「…愛ちゃん…」
リズは俯いた。
あれから愛香を避けていたリズは、急に現実に戻された気がした。
「学校来ないで何やってるのよっ〜心配したんだからぁ!
毎回あんたの家 行っても居留守使うしっ!
あたし、リズに嫌われたって
ショックだったんだから!」
「………愛ちゃん…」
リズは俯いた顔を上げることが出来なかった。
「早く学校 おいでよっ、
リズが来ないと寂しいんだから…!」
愛香はリズの隣にいたユウの存在に気づき、言葉を失った。
沈黙が流れる。
何だか気まずい雰囲気だと感じたのは気のせいだろうか。
「あー、リズ、ユウのライブに入り浸り?
ユウのライブいいでしょ? 」
空気を察知したのか何事もなかったかのように愛香は会話を続けた。
「…………。」
リズは変な違和感を感じ、その先を見つめた。
「…………。」
理久はユウを見ていた。
そして、ユウも。
その違和感はリズを支配し、いつまでも止むことを知らなかった。