誰かの為のラブソング
愛香は理久を学校の屋上に呼び出した。
吹き付ける風は思ったより強く、愛香は顔に纏わり付く髪を欝陶しそうに手で抑え込んだ。
「で?
何だよ。」
理久は不機嫌そうに制服のズボンのポケットに手を突っ込んだ。
「ちょっと、
聞きたいことあって。
リズ…、あたしのせいで学校に来ないの?
もしかして…」
ずっと引っ掛かっていたことを 愛香は吐露した。
「………違げぇよ。」
理久は顔を背けた。
「だったら、何で?
あたし、リズに嫌われることしたかなって、ずっと気になってて…このままリズが学校来なくなったらどうしようって、不安 なんだ。
ねぇ、但馬。
あたしどうしたらいい?」
愛香は興奮していた。
「……ごちゃごちゃうるせぇよ…どいつもこいつも…」
投げ出すような理久の言葉に愛香は目を見張った。
「但…馬?」
「…アイツは発作のせいで周りの人間に迷惑が掛かるのを極端に恐れてるんだよ。」
理久は呟くように喋り始めた。
「…だから、学校にも来ない、お前からも逃げてる。
ああやって、訳のわからねぇ男とツルんで全てから逃避してるんだよ。
どうせ、あの男がアイツをそそのかして、そうなったんじゃねぇの?
お前のせいじゃねぇよ。」
「…ユウ?
別にユウはそんな悪い人じゃないよ。
あたしはリズが興味持ってたから、ただ誘っただけで… 」