誰かの為のラブソング
「あっー!!」
突然、理久の背後にいた仲間の一人が何かに対して指を差し声を上げた。
「……なんだよ?」
仏頂面の理久は彼を睨んでいる。
「あれ!川嶋じゃね?!」
人混みを掻き分けるように視線をその先に向けると、理久の眼前に構内を歩くリズが飛び込んできた。
リズはすぐ傍にいるユウと楽しそうに笑っている。
「うっ…わ…マジ?
つーか、誰だよ?あいつ」
「休みまくって遊んでたとは… イメージ崩れるんですけどぉお!」
「…あいつ、どっかで見たことある…どこだっけな?」
「知らねぇな〜」
「てゆうか、川嶋、彼氏いたのかよぉお!」
「おい、理久〜
お前、知ってたのかよ?」
「〜バカ!」
理久の心情を察知したのか、仲間の一人は小声でその先の言動を止めた。
「それより、早くマック食おうぜ。
お前等、自分で出せよー」
「はぁあん?!
何でお前が決めんだよっ!」
「っいいから、来いよ!」
首根っこを掴むと彼等二人は理久の前から姿を消してしまった。