誰かの為のラブソング
学校に行かなくなって、どれぐらい経っただろうか。
それさえもわからなくなるほど随分時が流れた気がする。
リズはようやく決心し、学校に行くことを決めた。
足取りが重いのはまだ迷いがあるからだろうか。
逃げれば逃げるほど、再び前に踏み出そうとする一歩が出にくくなってしまうものだと、リズは実感していた。
久しぶりに見る学校の校舎は、なんだか見慣れないものに見えて仕方がなかった。
本当に今まで自分が毎日のように通っていた所とは到底思えない。
こうやって、人は記憶の中から自分には不必要な物事をいとも簡単に消し去っていくのだろう。
それはそんな感覚に似ていた。
でも…
決めたんだ。
もう逃げないって。
ユウに誓ったんだ。
リズは眼前に広がる学校の正門を睨み付けた。