誰かの為のラブソング


「ごめんね…愛ちゃん… 」


「リズのバカ!
こんな重要なことなんで今まで黙ってたのよ!」


愛香の涙はリズの涙だった。


「リズが悲しい時はあたしも悲しいんだよっ。
あんたが辛い時はあたしも辛いんだよっ

だから、一人で抱え込むような真似だけはやめてよ!」


「…うん……

だって…
愛ちゃんに本当のことを言ったら、嫌われるってずっと不安だったんだ…

愛ちゃんがいなくなるのが、怖かったんだ…」


「バカっ!
あたしのことをそんな風に見てたの?!
あたし、そんな人間じゃないよっ」


「…うん……」

頷くと一筋の涙がリズの頬を伝った。

「親友でしょ、あたし達っ」


「…うん……」


「何があっても、いつでもあたしはリズの味方なんだからねっ」


「…うん…」


リズは何度も何度も愛香に安心を与えられた。



心がすっと軽くなった気がした。



今度は、あたしが愛ちゃんに、安心を与える番だよね…



「リズ…

ごめんね…

リズがこんなに苦しんでたことに気づかなくて、

本当にごめんね…」


呟くように愛香は心を込めて、こう言った。


「ううん…

あたしが悪いの…

本当にごめんね………」


今までどれくらいの心配を
掛けただろう。

どれだけ、不安にさせてしまっただろう。



どんなに親しい間柄でも、
こうやって、きちんと口に出さなきゃ伝わらないことの方が多いんだ。


愛ちゃんも苦しんでいたんだ。



全てを告げて本当によかった。




そう言ってくれる彼女に出会えて、本当によかった。



傍にいてくれる友達が愛香で本当によかった。



リズは愛香の存在を噛み締めるようにそっと瞳を閉じた。











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