誰かの為のラブソング
「何よ?リズ〜」
愛香は小声でその先の様子を伺った。
その先には、理久と見慣れない女子生徒がそこにいた。
「あの…返事…聞いてもいいですか…?」
華奢な身体な可愛い娘だった。
彼女は雰囲気からして純粋さを醸し出しているその瞳で、理久を真っ直ぐに見つめていた。
「うっそ!コクっちゃてるとか?」
「愛ちゃん、声、大きいよ〜」
囁くような声でリズは愛香に念を押した。
「でも無理だろうな〜
だって、あいつ、ことごとく断ってるらしいし…」
愛香の言葉にリズは驚いた。
「え?理久って、そんなにモテてるの?」
「あんた、いつも一緒にいるくせに知らないの〜?
そりゃ、サッカー部のエースストライカーだもん、モテて当然よ〜」
「…へぇ〜そうなんだ」
リズは愛香の言っていることが信じられずにいた。
でも、客観的に見ると理久はモテて当然なのかもしれない。
余りにも理久との距離が近すぎて、そんなこと考えてもみなかった。
「あ〜あ…
なんだか… 見てらんないから、リズ、行こうよ」
愛香はリズの耳元でこう呟いた。
「…あ、あの……」
長い沈黙に痺れを切らしたのか彼女が理久に言いかけた瞬間だった。
「…………いいよ」
理久は静かにこう告げた。