誰かの為のラブソング
教室を後にしようとした時だった。
窓の外で遠くから走り込んで来る人影を見つけた。
制服姿の女子生徒は息を切らしながら校舎の方へと向かってくる。
「……遅っ…」
一生懸命走っている割には酷く恐ろしく遅かった。
その女子生徒は遅いなりにそれでも走っていくことを止めなかった。
そんなに式に出たいのかよ。
理久はその一生懸命さに理解できなかった。
「…あっ!」
その彼女はようやく校舎の入口まで辿り着いたかと思うと、足がもつれたのかその場でおもいっきりこけてしまった。
派手にその場で倒れた彼女はぴくりとも動かない。
「……なんか…」
やばくね?
そう思うと理久は思うがままに教室を後にした。