誰かの為のラブソング
「あたしにとっては今日が全てだったんですっ!
どうでもいいとかそんなんじゃないんです!」
突然の彼女の言葉に理久は唖然とした。
「……親も楽しみにしてくれてたし…
誰よりも喜んでくれてたし…」
そう言うと彼女は俯いた。
「……そっ…か……」
その後の言葉が出てこなかった。
何だか、同じだった。
きっと、彼女も周囲の期待に応えようと必死になってやってきたんだ。
ただ、期待に応えたい、
裏切りたくない。
自分の為じゃなく、ただ大切な人の為に。
大切な人の喜ぶ顔さえ見れるのなら、それでいい。
どんな努力も出来るんだ。
彼女は純粋だった。
純粋な上に人の気持ちに敏感なんだ。
「…もう…いいと思う…
十分、結果を出しただろ…?」
人の想いに敏感すぎる上にその重圧が彼女に重くのしかかっている気がした。
その純粋さがよけいに彼女を苦しめていると、そう思ったんだ。