誰かの為のラブソング
彼女と出会ってから、2週間が経とうとしていた。
あれから随分時間が経ったが、相変わらず彼女の姿はこの教室にはなかった。
風邪の割には長い間、休むよな…。
まだ、川嶋莉子という人間を一度も見たこともないクラスメイト達は当然のように誰も彼女のことを気には止めてはいなかった。
ぽつんと空間が開いている彼女の席だけ、入学式の日から時間が止まっていた。
何で来ないんだ?
まだ、調子悪いんだろうか?
このまま、ずっと来ない気なのか?
理久は気になって仕方がなかった。
あんなに必死になって式に出ようとしてたのに、
何故だ?
理久はそう考えるといてもたってもいられなくなり、思うがままに教室を後にした。
「但馬!!」
教室を出て廊下に差し掛かった頃、誰かに呼び止められた。
振り向くと、そこにはサッカー部の顧問が立ち尽くしていた。